| 「‥何してんだ？」
花火で散々遊んだ後、コテージの玄関に戻って来ると、クラウドが自分のくくった髪を引っ張って、鼻をヒクヒクさせて臭いを嗅いでいる。 「花火くさーい！」 「そりゃ、あんだけ煙の中にいれば、臭いも付くってもんだぜ。」 「うう〜。こんな臭いヤだ！お風呂入る！」 「あっ、こら！」 そう叫び様、クラウドはザックスの脇をすり抜けてダッシュし、そのままバタバタと脱衣場に入ってしまった。 「また着替えも用意しねぇで…。」 ザックスが溜め息を付いてベッドルームに着替えを取りに行こうとすると、ぴょこっとクラウドがドアから顔を出す。 「ねぇお風呂広いんだよ、一緒に入ろうよ。ちゃんと二人分、バスローブあるから！」 「お？そんなもんも揃ってんのか。んじゃ、着替え取ってこねぇでいいか。」 ザックスが、クラウドが消えたドアから脱衣場に入ると、既にクラウドはバスルームでシャワーを浴びていた。 乱雑に脱ぎ捨てられたクラウドの服を一まとめに集め、自分も服を脱いでバスルームのドアを開ける。 クラウドはそのドアに背を向けて、頭からシャワーを浴びていた。 いつもはぴんぴんに跳ねたチョコボの雛のような金髪が、濡れて艶やかな蜂蜜色になって、白く滑らかな背に流れている。 「…いい眺めｖ」 「えっ？」 どうやらドアが開いたことに気づいていなかったらしいクラウドは、ザックスの呟きに慌てて振り返った。 ザックスはその湯にあたって少し上気した、柔らかい丸みを帯びた頬に手を伸ばして愛しげに撫でる。 「この可愛い顔に傷が付かなくて良かったぜｖ」 「…もうっ、なんでいっつもそういう、っんぅ！」 言葉を遮るようにザックスはいきなり口付け、柔らかく甘い感触の唇を味わうように何度も啄んだ。 クラウドは、ぺしぺしとザックスの胸を叩いて行動で抗議するが、ザックスはそんなことは意に介さず更に深く口付ける。 「ん〜…んんっ‥‥ん゛〜！」 「っつ！」 ガリッと腕に爪を立てられてザックスが思わず唇を解放すると、クラウドはザックスを睨み付けて叫んだ。 「こっ、こんなトコで、いきなりそんなことするなっ！」 「…いきなりじゃなきゃいいのか？‥てっ！」 ザックスの言葉に、クラウドは思いっきり臑を蹴り上げる。 「舌に噛み付かなかったの、感謝しろよっ！」 「へーへー。」 蹴られた臑をこれ見よがしにさするザックスに冷たい一瞥をくれてから、クラウドはシャワーの真下から移動した。 「ほんっとにもう、ザックスってばどこでもそういうコトするんだから…。」 ぶつぶつと文句を言いながら髪を洗い出したクラウドに、ザックスは苦笑を浮かべてシャワーを浴び始める。 「だって、クラウドいつでも可愛いんだからしょーがねーだろー。」 「あ・の・ね〜！可愛いとかそういう問題じゃなくて……どうしてベッドまで我慢出来ないんだよっ！」 「はいっ？」 クラウドの言った内容が一瞬理解できなかったザックスは、まじめな顔でクラウドを見つめた。 そのザックスの反応に、クラウドは一気に赤くなって慌てふためく。 「あっ、いやっ、えと、あの、その…。」 「‥ということはぁ、ベッドなら今日はＯＫなんだ？」 「う゛っ。」 にんまりと笑うザックスに、クラウドは耳や首筋まで真っ赤にして俯いた。 そのままザックスに背を向けて、わしゃわしゃと無言で髪を洗う。 が、心の中では激しく喚いていた。 うわーうわーっ！ な、何言ったんだ、俺？！ あんな言い方、まるで、まるで…誘ってるみたいじゃないか〜！ ひゃあぁ、もう、は、恥ずかしいっっ！ 小さな背中を更に丸めて縮こまっているクラウドに、ザックスは気づかれないように溜め息をつき、自分は身体を洗い始める。 手際よく洗い終わり、シャワーを浴びながら何気なくクラウドを見やると、クラウドはまだもたもたと髪を洗っていた。 「うきゃっ！？」 「いつまで髪洗ってんだよ？」 いきなりシャワーを頭から浴びせると、クラウドは悲鳴を上げてザックスを振り返る。 「べっ、別にいいでしょ、ゆっくり洗ったって！」 「いいけど。…身体洗うの、手伝ってやろうか？」 「え？ううんっ、自分で洗う！ザックス絶対なんか悪戯するんだから。」 「悪戯なんて…。」 「したことあるじゃないかっ！」 思いっきり真面目くさった顔で、心外だと言いたげに見つめるザックスに、クラウドはヒステリックに叫んだ。 「洗うの手伝ってやるって言って、お尻撫で回したり、あ、アソコ触ったりして…っ！俺っ、ヤだって言ったのに、バスルームで抱いたことだってあるだろっ！」 そう言いながら、その時のことを思い出して感情が高ぶったのか、クラウドは涙を零し始める。 ぼろぼろと大粒の涙を零して泣き出したクラウドを、ザックスは慌てて優しく抱き締めた。 「ごめんごめん。クラウドが、そんなに嫌がってたなんて知らなかった。…もう、二度としねぇから。な、許してくれよ。」 「っく…ふぇっく‥‥ぁっのねっ、するのが、ヤなんじゃ、…ひっく、なくって、ねぇ‥。」 「ん？」 「ヤだって…ひぃっく、ゆってんのに、す、するから…ヤなのぉ……え〜〜んっ！」 「ん、ごめんな。今度からクラウドに誘われても、バスルームの中じゃ手は出さねぇよ。ちゃんとベッドで、なｖ」 えぐえぐと泣きながら訴えるクラウドの髪に、ザックスは頬ずりをしながら優しく囁く。 クラウドもザックスの背に両腕を回して、黙って頷いた。 「…でもなぁ。風呂なんかに誘われっと、男としてはＯＫだと思っちまうぜ〜？」 「？…ＯＫって、何が？」 濡れた瞳で不思議そうに見つめられて、ザックスは苦笑するしかない。 「そりゃ、手出しＯＫってこと。…んだよ、まさかと思ったけど本気でそういう気じゃなかったのか？」 「そ、そうなの！？俺っ、し、知らなかった…。」 心底驚いた、という風に瞳を見開くクラウドに、あることに気づいてザックスは一言加えた。 「あ〜。言っとくけど、恋人と二人っきりの場合な。兵舎の大浴場に行く時は違うぜ？」 「えっ、あっ、そう。は〜よかったぁ。俺、みんなと誘い合ってよく大浴場に行くから、びっくりしちゃったよ。」 クラウドはごしごしと目元を擦り、てへへと恥ずかしそうに笑う。 そんなクラウドの顔を上げさせて、ザックスは少し赤くなった目元にそっとキスをした。 「ほんとはなぁ、恋人としてはそういうの、止めて欲しいんだけどな。」 「どうして？大浴場、広くって気持ちいいんだよ！」 「…あのな。クラウドの素っ裸、他の野郎に見られて俺が平気なワケねーだろ！」 「ん〜〜？？…俺は平気だよ？ザックスの裸、他の男の人に見られても。」 「いや、だからな、あーも〜、分っかんねぇかな〜。」 「分っかんないよ〜！…ま、いいや。俺は身体洗うから、ザックス髪洗ったら？」 けろっとしてそう言うと、クラウドはまたザックスに背を向けて身体を洗い始める。 その後ろ姿を見ながら、ザックスは律儀にもクラウドに言われたように髪を洗い始めた。 しかし、これでクラウドと一緒に風呂入れなくなったら寂しいよなぁ。 あれ？ そういうつもり無いんだったら、なんでクラウドは風呂に誘うんだ？ う〜ん。 ついそんな考えにはまり、手の止まっているザックスを尻目に、クラウドはさっさと身体を洗い終わってバスルームのドアのノブに手をかけてザックスを振り返る。 「ザックス、人のこと言えないじゃないか！先に出るからね。」 「あ、ああ。」 ザックスが片手を挙げるのを見届けてから、クラウドはバスルームを出ていった。 それから手早く髪を洗うと、ザックスもクラウドの後を追うようにすぐにバスルームから出る。 すると洗面台の所に、真っ白なバスローブが一つ着てねと言わんばかりに置いてあった。 「これって、も一つの方も同じ大きさなのか？」 ザックスは、置いてあったバスローブを着て鏡に映った自分を見て、その情けなさに溜め息を付く。 確実にザックスのサイズよりは一つ小さいバスローブは丈も袖も短く、何やら中途半端な印象だ。 しかし、それ以外着替えを用意していないため、ザックスはそのまま脱衣場を出る。 「あっ、そっちの方が小さかったの？！」 リビングに入ると、嬉しそうにオレンジジュースを飲んでいたクラウドが声をかけてきた。 「…いや、同じじゃねぇか？」 クラウドをまじまじと見て言ったザックスの言葉に、クラウドはぷくりと頬を膨らませる。 クラウドが着ていると丈は引きずるように長く、袖はだぶだぶのために折るしかないような状態だが、確かにザックスが着ているものと同じサイズのようだった。 クラウドはコップを置いてザックスの側までやってくるが、そこで思いっきり裾を踏んづけて転びそうになる。 「きゃ…っ！」 「おっと。…大丈夫か？」 「う、うん。バスローブってかっこいいって思ったけど歩きにくい…ひゃっ！」 片腕でバランスを崩したクラウドの体を支えたザックスは、次の瞬間、ひょいっとクラウドを抱き上げた。 そのままベッドルームへと移動しつつ口付ける。 「っん……ふ、‥‥、ん‥ザックス…自分で、歩けるよぅ…。」 「歩きにくいんだろ？ベッドまでお姫様抱っこしてってやるよｖ」 「ぅん…んん〜！」 力ない抗議には耳を貸さず、ザックスはベッドまでクラウドを口付けから解放しなかった。 「はぁ、…なんか、くらくらするぅ‥‥。」 ベッドに優しく横たえられ、頬を上気させたクラウドはうっとりとザックスを見上げる。 ザックスは差し出された小さな手をそっと掴み、ちゅっと音を立てて手の甲にキスをした。 「ベッドだったら‥‥いいんだよな？」 「ばか…。」 クラウドは恥ずかしそうに瞬きしてからザックスの首にほっそりとした腕を絡ませ、自分から唇を重ねる。 「何度も言わせないでよ。」 「だって俺、クラウドに嫌がられんの怖いんだぜ？」 ちゅ、ちゅと何度も啄むようなキスを繰り返しながら、その合間に短く言葉を交わし、互いに更に強く抱き合った。 「っ…ザックス、大好き。」 「大好きだ、クラウド。」 次第に深くなるキスに、クラウドは甘い表情を浮かべる。 ザックスがそっと舌で歯列を割って侵入し、逃げない柔らかい舌を絡め捕り吸い上げると、クラウドの身体から力が抜けた。 それを感じると、ザックスはゆっくり身を離す。 「…っふ、ザックス？キス、もう、止めちゃうの？」 「ん？キスもイイんだけど、俺としては他の部分もじっくり味わいたいワケｖ」 「も〜、また身体中舐め回す気！？ザックス変だよ、絶対！‥あ、ぁん。」 首筋を甘噛みし、つつっと舌で耳朶の後ろまで舐め上げると、クラウドは小さく甘い声を上げた。 「ぷ。でも気持ちイイだろ〜？クラウドのそういう顔と声、めちゃくちゃソソるんだぜｖ」 「っあ、そ、そんなこと、ないもんっ！」 「嘘ばっか〜ｖココなんか、すっげ好きだろ？」 そう言いつつ、ザックスは触れもしないのに固くなり始めているクラウドの胸の飾りに指を這わせる。 「ひゃっ！」 「おっと。」 途端にびくっと背が撓り、それと同時に片足が上がった。 ザックスはその足首を難なく捕らえて、奥歯を噛み締めているクラウドの耳朶をぺろりと舐めて低く囁く。 「足癖悪いよなぁ…それとも、足から舐めて欲しいって？」 「な、何言ってんの？あ…く、くすぐったぁい‥あはははっ。止めて、くすぐったいって〜！」 掴んだ足の裏に口付け、ぺろぺろと舐め出したザックスから逃げようと、クラウドは笑いながら身を捻った。 しかし足首を掴む力は緩まず、ザックスの舌は次第に移動して足の指に絡みつく。 「あっ‥？」 「結構、イケルだろ？」 ザックスは小さな足の親指を銜え込んで、軽く歯を立てながらしゃべった。 「ぁん、ん‥。」 クラウドはその刺激にぴくんっと膝を痙攣させる。 その表情をじっくりと観察しながら、ザックスはちろちろと舌を器用に動かしてクラウドの足の指を丹念に舐め愛撫した。 クラウドの手がザックスのバスローブの襟を掴んで、ぎゅっと握り締める。 「…っぁ、足なん、て‥ど、どうしてぇ？」 「ん〜？そりゃ、俺が上手いからｖよかったな、気持ちよくなれて。」 そう言いつつ、ザックスの舌は指から足の甲を伝い、ほっそりとした、しかしきっちりとしなやかな筋肉の付いたふくらはぎを、ゆっくりと舐め上げた。 「ぁん、‥ばかっ！もっ、ザックスって、自信過剰、だよっ！」 「そうかぁ？で、お姫様は気持ちよくねぇワケ？」 ザックスはちゅっと音をたてて膝にキスし、空いた手はもう片方の足の太股を撫で続ける。 その刺激にぴくぴくと肩を震わせながら、クラウドはザックスの頬をぺちぺちと叩いて顔を上げるよう促した。 「なんだ？」 「もっと、近くで見てよ。」 「？」 促されるままにザックスが身を起こしてクラウドの顔を覗き込むと、クラウドはあどけなく笑ってザックスに抱きつく。 そして、知っていてワザとなのか、ザックスの余裕を根こそぎ奪うかのように、ピアスごと耳朶を甘噛みしながら柔らかいボーイソプラノで可愛らしく囁いた。 「気持ちイイよｖ…ザックスだから、こんなこと許してるんだからね。」 「ああ、サンキュｖも〜可愛いよなぁｖｖ堪んねぇよ。」 「あぁんっ！ヤだっ、や、優しく、してぇ…。」 薄く色付く両の胸の飾りを、きゅっと親指で強く擦り上げられてクラウドは悲鳴を上げる。 ザックスはすぐにぷつりと凝り出す飾りを、執拗にゆっくりと指の腹で刺激し、そこの刺激だけで悶えるクラウドの表情に見入った。 「あぁっ、あっ…んんっ、そ、そこ、ばっかり、ヤだぁ…も、ダメぇ。」 「ん〜？じゃ、次は何処がいいんだ？ココはもうこんなにしてるから、触んねぇでもいいだろ？」 「きゃぁっ！」 ザックスが片手は胸の飾りを弄んだままもう片手をするすると降ろし、クラウドの幼い自身を緩く握り込むと、ひくんっと内股を痙攣させて軽くイってしまう。 ザックスは、僅かに滲み出た白い液体に驚き、慌ててクラウドの様子を伺った。 すると、クラウドは顔を真っ赤にして、キッとザックスを睨み付けながらも瞳を潤ませる。 「ばかぁ‥。で、出ちゃったじゃないかぁ…。」 「ごめんごめん。」 「もう、ダメって、言ったのにぃ。」 潤んだ瞳で訴えるクラウドに、ザックスはそっと目元にキスして涙を拭った。 「ごめんって。こんなに感度良くなってるって思わなかったからｖ…足、舐めたからか？」 「し、知らないっ！」 クラウドはきゅっと目をつぶって、ぷいっと横を向く。 「ぷぷっ。かーわいーなーｖｖんじゃ、続きっと♪」 「あぁんっ！」 ちゅっと胸の飾りにキスをすると、クラウドはザックスがむしゃぶりつきたくなるような甘い声を上げた。 ザックスは、既に固くなって存在を主張しているクラウドの胸の飾りを手のひらで擦り付けるように嬲り、殆どはだけられたバスローブを剥いで、華奢な肩を露にする。 「ぁ、んっ…ん、あったか、い‥‥。」 クラウドの肩からうなじにかけてのなだらかなラインを、大きな手で包み込むように何度も撫でると、クラウドは穏やかな表情で微笑んだ。 「クラウドの肩ってすべすべで気持ちいいなぁｖ」 その表情を嬉しそうに見つめ、ザックスは肩口にキスをする。 そしてそのまま、白く滑らかな肌を耳元まで舐め上げた。 「ああぁっあ…っ！…もっ、な、舐めない、でよぅ‥。」 「ヤ・ダ。嫌いじゃないんだろ？気持ち良さそうな顔してっぜ？」 そういいつつも休まず、ザックスの舌はうなじと耳朶を攻め、手は嬲られて敏感になった胸の飾りを執拗に弄んでいる。 ザックスのバスローブを握り締めながらも、クラウドは舌足らずの甘えた声で啼いた。 「んっ‥き、気持ち、イイ…ザックス…っ。」 「じゃ、もちょっとイイ顔見せてくれよｖ」 「あぁぁっん！ヤだぁ、こ、こんなの、恥ずかしい、っよ…。」 かりっと敏感になった胸の飾りに爪を立てられて、クラウドは甲高い嬌声を上げて身悶える。 そして、慌ててぎゅっと目を瞑り唇を噛み締め、その上から更に自分の手で口許を覆った。 「…なぁ、やっぱ嫌なんだ？」 そんなクラウドの様子に、ザックスはそっとその華奢な身体を抱き締める。 いつにない沈んだ声に、クラウドがそろそろと瞼を開けてザックスを見上げると、ザックスはどこか自嘲気味の笑みを浮かべていた。 「ザックス…？」 「好きだ、クラウド…。」 「俺も好きだよ？…どうして、そんな悲しい顔、するの？」 クラウドは両手を伸ばしてザックスの頭を引き寄せ、ちゅっと音を立てて唇にキスをする。 それに、堪らないというようにザックスは口付け、深く深く唇を重ねた。 ザックスを抱き寄せるクラウドの腕に、力が籠もる。 飽きずに何度も何度も舌が絡まり、吸い上げられ、クラウドの頭がぼんやりとしてきたところで唇は解放された。 「っぁ、…はぁ、んっ、ど、どうしたの？なんか、変だよ、ザックス…。」 クラウドはぼんやりとした頭で一生懸命考えてそう言い、じっとザックスの魔胱の瞳を見つめる。 その視線から逃げるように、ザックスはぎゅっとクラウドを抱き締めた。 クラウドはザックスの逞しい肩に遠慮がちに手を這わせて、そっと首筋に頬を擦り寄せる。 「ね、ザックス。俺、こうやってね、抱き締めてもらうの、すごく好きなんだよ。」 「？」 「…でね、だ、抱かれるのも、ほんとは、好きなんだよ…。」 「えっ？！」 思いがけない言葉に、無意識にクラウドを抱き締める両腕に力が入った。 「痛いっ！」 「あっ、ご、ごめんっ！」 ザックスがすぐに力を抜いて心配そうにクラウドの顔を覗き込むと、クラウドは頬を染めながらも悪戯っ子のような表情を浮かべていた。 「‥なんてねｖザックス、大好きｖ」 ちゅ、とまた軽く音をたてて唇にキスすると、驚いたのか嬉しいのか、よく分からない表情を浮かべるザックスを見て、クラウドは楽しそうに笑う。 「ベッドでね、一緒に寝るの好き。すっごく優しく抱かれるのも、好き。」 「クラウド‥。」 「でもね…。俺、恥ずかしいんだよ。‥してる時の、自分の声を聞くのが。もう、ほんとに死んじゃいたいって思うくらい…。」 「‥‥。」 泣き笑いの顔になったクラウドを、ザックスは黙って抱き締めた。 クラウドもザックスの背に両腕を回し、厚い胸に頬を擦り寄せる。 「だからいつも困っちゃう。ザックスが優しくしてくれて、すっごく気持ちよくなったら恥ずかしい声が出ちゃうし、でもそうやって一緒にいるのはすごく好きだしぃ…。」 クラウドはそう言いつつ、ぺろりとバスローブのはだけたザックスの胸を舐めた。 「おい？」 「ふふｖ…もういいや。俺、声なんか気にしないようにするから、だから、ザックス。俺のせいでそんな悲しい顔しないで…いつもの、俺の大好きなザックスになって？」 「…ったく、敵わねぇなぁ。なんだって、そんなに可愛いんだよｖｖ」 潤んだ瞳で上目遣いに見つめてくるクラウドに、ザックスはいつものように目元にキスをする。 浮かんだ涙を拭ってしまうと、柔らかい丸みを帯びた頬や白い額、鼻先や唇にキスの雨を降らせながら、背筋の窪みに沿って上から下につっと手を滑らせた。 「ぁあん！」 「…恥ずかしがんなくたって、いいのに。」 「っん、‥え？」 「イイ声。俺、すっげ好きなんだぜ？」 腰まで降ろした手でやんわりと、クラウドの小さな尻を揉む。 「んぅ…ぁ、好き、なの？」 「ああ、好きだ。可愛くて、甘くて、艶っぽい…。」 「そ、そう？」 「ん、すっげ好き。特にバスルームで‥‥あ、なんだ。」 「なに？」 頬ずりしながら身体中を優しく撫でるザックスの大きな手に身を委ね、クラウドはとろんとした瞳でザックスを見つめた。 その瞳をじっと見つめ返しながら、ザックスはニ、と笑う。 「バスルームは声が響くから、嫌なんだろ？」 「‥っあ、あぁぁん！‥あ、う、うんっ…。す、すごく、恥ずか、し……。」 きゅっと自身を握り込まれて、ぷるぷると全身を震わせながら可愛らしい声を上げ、クラウドは真っ赤になって頷いた。 感じるほどに艶っぽくなっていくクラウドの表情を間近で見つめながら、ザックスはクラウドを煽るように手を動かす。 「…っん、ヤだぁ…ま、また、‥あぁ、ん、俺だ、け、イっちゃうぅ！」 「構わねぇよ？‥気持ちよくなっちまえ。」 「んんっん、…ヤだ！は、離してっ。」 「お、おい、クラウド？」 クラウドは自身を弄ぶザックスの手をむんずと掴むと、片肘を付いて上半身を無理やり起こした。 ザックスが肩を支えないといけないほど力の入らなくなった身体を動かして、クラウドはべったりとザックスに抱きつき、ザックスと身体の位置を入れ替える。 「もっ、狡いじゃないかぁ。俺ばっかり触られてぇ。」 唇を尖らせ、舌足らずになった甘えた声でそう言うと、ずりずりと身体の位置を下にずらし、ザックスのバスローブの腰紐を解いた。 「わっ、な、何する気だよ！？」 「…なんだ、平気な顔してるから、俺だけ興奮してるのかと思っちゃったｖ」 「あのな〜！んな可愛い顔見て、色っぽい声聞いて、勃たねぇわけねぇだろ〜？」 「ふふっ。よかったｖ」 「あっ、んなことしねぇで、いいって…。」 クラウドは無邪気に笑い、ちゅっとザックス自身にキスをして口に含む。 口を一杯に開き喉まで銜え込むと、ザックスがするのを思い出しつつ一生懸命舌を使い始めた。 「っん、いいって。クラウド、離せよ。」 「んん〜！」 ザックスが頬を撫でながらそう言っても、クラウドはザックス自身を銜えたまま首を横に振りどうしても離れようとしない。 意外に上手くツボを突いてくるクラウドの舌の動きに内心焦りつつ、ザックスは引き剥がすのを諦めて、クラウドの白く柔らかな尻に手を伸ばして撫で回した。 クラウドはぴくぴくと背中を痙攣させながらもザックス自身にしゃぶりついたままなので、ザックスは仕方なくそのまま人指し指を入り口に這わせる。 「んぐぐっ！」 途端にクラウドは苦しそうな声を上げたが、それでも離れようとしなかった。 「…っいい加減、離せよ。このまま、指入れちまうぞ？」 「っく、んくっ…ん。んんんっ！」 「っつ！」 ザックスの言葉に構わず舌での愛撫を止めないクラウドに、つい意地になってザックスがくっと入り口を押すと、クラウドはそれだけでひくりと尻の柔肌を引きつらせてザックス自身に歯を立てる。 傷つける程ではなかったがさすがに痛かったらしく、ザックスは慌てて手を引いた。 クラウドも自分がしてしまったことに驚き、やっと顔を上げて泣きそうな顔でザックスを見つめる。 「っふ、う、‥ご、ごめんなさい…。」 「だ、大丈夫だ！泣くなよ‥俺が悪戯したのが悪ぃんだから。」 ちゅ、と優しく頬にキスすれば、クラウドはほわんと柔らかい笑みを浮かべた。 「う〜、可愛い〜ｖｖやっぱ、口じゃなくて中でイきてぇよｖ‥よっと。」 「きゃっ！」 こてん、とクラウドをベッドに仰向けに転がしてまた組み敷くと、腰紐で申し訳程度にくっついているバスローブを紐ごと全て剥ぎ取って、両手で膝裏を掴んで足を広げる。 「もうちょっと待ってろよｖ」 「あぁぁんっ！」 既に張り詰めきって先端から透明の滴を零しているクラウド自身に、ザックスがちゅっとキスをすると、クラウドは甘い声を上げて背を撓らせた。 それに笑みを浮かべながら、ザックスがぐっとクラウドの膝を押し広げたので、秘部が全部ザックスの視線に晒される。 「っ、ヤだぁ…み、見ないで…。」 「なんで？クラウドのココ、可愛いぜ〜ｖ」 「んっん‥あ、ぁんっ…。」 まだ解かれていない場所を舌で愛撫すると、すぐに鼻にかかった吐息のような声が上がった。 しっかりと湿らすように執拗に入り口を舐め続けるザックスの髪を、クラウドは力の入らない手で掴む。 「…ま、まだ？」 「まだまだｖ中も濡らさないとなｖｖ」 「えっ？ひゃっ！」 しっとりと湿り力の抜けてきた秘部に、ザックスが舌をそっと差し入れると、クラウドはぴくんと腰を揺らした。 何度も何度も内部に舌で唾液を塗り付ける感触に、クラウドの上げる声が艶を帯びていく。 「…ふっぅん、あぁんっ‥気、持ち、イイ、よぅ…。あっ、あぁっ…っ！」 「ん‥そろそろ、大丈夫かな？」 ひくひくと差し入れた舌を締めつけ始めた秘部を、またぺろりと舐めてからクラウドの顔の横に肘を付き顔を覗き込んだ。 クラウドは鮮やかに頬を染め上げて、うっとりと潤んだ瞳でザックスを見つめる。 ザックスはその表情に嬉しそうな笑みを浮かべて、人指し指を入り口にあてがった。 「っ‥はぁ、っん、い、入れる、の？」 「ん。慣らさねぇと怪我させちまうから…力抜いてろよ？」 「んっ‥くぅ…。ふっ‥あ、あんんっ！」 つぷっと指が入った瞬間クラウドの身体に力が入ったが、それに構わずゆっくりとザックスの長い指が最後まで入り淫らに動き出すと、甘い嬌声が上がる。 「あぁっあ…あんっ‥‥ヤぁっ…ふっう、イ、イきそう‥っ！」 「まだ、一本しか入れてねぇよ？」 じわじわと濡れ始める内部に動きを助けられ、ザックスは指を思う様に動かした。 クラウドの感じる場所を狙って触ると、クラウドは背を撓らせてザックスの指を締めつける。 「あぁぁあっ！‥‥うぅんっ…は、ぁん、ヤ、ってばぁ…。」 「イきたくねぇの？」 「…ぅんっ‥ザッ、クス…一緒、にぃ‥。」 クラウドはぽろぽろと涙を零しながら、縋るようにザックスを見つめた。 その零れた涙をキスで拭い、ザックスは耳元で囁く。 「嬉しいけど、な、まだ無理だろ、ココ？」 「ひっぁ、あぁんっ！」 くいっと内部で指を曲げると、内部はきゅっと収縮してザックスの指を締め上げた。 「ほら、まだきついぜ？」 「んっく、…いい、のっ！もっ、大丈夫、だからぁ…ねぇ‥‥。」 「あっ、ちょっ、待て待てっ！」 クラウドは突然手を伸ばして、ザックス自身を掴む。 クラウドの痴態にしっかり反応し育っているザックス自身の先端に、クラウドは小さい爪を立てた。 「んっ‥！」 「‥っ、ね、いいから…一緒、に…んうっ！？」 クラウドが眉間に皺を寄せて快感をやり過ごすザックスの表情に嬉しそうに微笑み、魔胱の瞳を覗き込むと、いきなりザックスは唇を重ねる。 乱暴に口内を犯すザックスの舌に翻弄され、クラウドが呼吸困難になるかと思う寸前に唇は解放された。 「…っばっか。怪我させたくねぇから我慢してたのに……もう、できねーじゃねぇか。」 「ふふっ‥じゃあ、ねｖ」 ちゅっとクラウドから軽くキスすると、ザックスも目元にそっとキスしてクラウドの入り口に自身の先端をあてがう。 そして、少しだけ自身を潜り込ませてから、また頬にキスをして囁いた。 「…本気で、ダメだって思ったら、殴ってでも教えろよ？」 「んｖ……ぅ、うんっく、くぅぁ、あぁぁんんっ！」 クラウドが嬉しそうに頷くと同時に、ザックスは自身をずるりと一気に突き込む。 ザックスの首に両腕でしがみつき、クラウドは部屋に嬌声を響かせた。 根元まで埋め込むと、ザックスは動きを止めて健気に自分を受け入れる、幼い身体を優しく抱き締める。 「動いて、大丈夫か？」 「‥んっ…いいよ。でも、その前に、キス、して…。」 甘えた声でのおねだりに、ザックスは少し身を起こして笑みを浮かべ、クラウドと見つめ合った。 「大好き、ザックスｖ」 「俺も大好きだ、クラウドｖ」 視線を絡みつかせるように見つめ合ったまま、口付ける。 「んっ‥んぅ。」 ザックスは何度も角度を変え、クラウドの柔らかい舌を唇で挟み込んで舌先に軽く歯を立てた。 そんな刺激に感じ、きゅ、とクラウドの内部がザックスを締めつける。 「ぁん！」 「んっ…動くぞ？」 「あっ、ち、ちょっと、待って…。」 そう言いつつ、クラウドは少し身じろぐと、受け入れたザックスを味わうようにきゅうぅと内部を収縮させた。 「こ、ら…。俺の理性吹っ飛ばす気かよ。」 「ぁん、ん。だって、ザックスを全部、感じたいんだもん…。」 「…いくらでも、喰ったって、いいぜ？」 「あっ！あぁぁん‥んんっ！」 くいっと腰を押しつけると、途端に甘い声が上がる。 その声に気をよくして、ザックスはピストン運動はせずに何度も腰を押しつけた。 その奥を擦られるが焦れったい刺激に、クラウドは快感を燃え上がらせることが出来ずに啜り泣く。 「あぁっ……ふぁっ、ヤ、だ、変、な感じだ、よぅ‥！」 「でも感じてっだろ？気持ちよく締めつけてるぜ？」 「んっふ…ヤ、もっと、動いてぇ！…ひゃっ、あぁぁぁんっ！」 クラウドが動いて、と口にしたとほぼ同時に、ザックスは自身が抜けないぎりぎりまで腰を引き、一気に最奥まで突っ込んだ。 ひくっとクラウドが内股を引きつらせてイきそうになったが、タイミング良くザックスが根元を押さえ込んだために達することができない。 「ひっ…んんっ‥‥は、離し、てぇ…。」 「ん？一人でイっちまうのか？」 「ふぇっ、だっ‥て、ザックス…イ、イこうとしない、じゃない、かぁ…。」 「あ〜、ごめん。泣くなよ…俺も、そろそろヤベェから。ちゃんと、一緒にイこうなｖ」 浮かんだ涙をキスで拭うと、ザックスは妙に真剣な表情をして腰を使い始めた。 浅く、深く、クラウドの感じる場所を刺激するように、ピストン運動を繰り返す。 「あっふ…っん、あぁんっ！ザ、ザックス、…ザック、スゥ‥。」 「っふ、ここに、いるぜ？」 まるでザックスを探しているかのように名を呼ぶクラウドに、ザックスは耳に舌を差し入れ嬲りながら囁いた。 クラウドはその刺激に唇を震わせ、うっとりと涙を零す。 その艶のある表情に煽られ、ザックスはぐいっと奥まで自身を突っ込んでから、腰をローリングさせた。 「んんんっ！‥はぁあっ、熱いっ‥あぁあん…ザッ、クス‥‥ぁっ、イイ、よぅ‥っ！」 「んっ。俺、も、すっげ、気持ちイイ。…イくぜ？」 あられもなく啼き出したクラウドに、ザックスは腰の辺りがざわつくのを感じる。 その刺激に忠実に、クラウドを啼かすためだけではなく、自分も昇りつめるためにピストン運動を早めた。 「ひゃぁあんっ！…あぁっ、ぁっ‥‥あっ、そ、そんな、奥、までぇ！？ふっく…あぁんっ！」 「気持ち、イイ、か？」 「んっ！あぁん、ぅんっ‥気、持ち…イイっ！」 「…もっと？」 「あっ、あ…くぅ‥‥ん、あぁぁっ…もっと、…もっとぉ……っ！」 クラウドは熱く濡れた内部で、ザックスを締めつけながら自らも腰を動かして更なる快感を欲しがる。 ザックスはクラウドが欲しがるまま、腰を激しく打ちつけた。 「ひ、あぁんっ！…熱、い！と、溶け、ちゃうぅ！‥あぁっ、‥‥くぅっん、あぁぁあんん！」 「っく！」 クラウドは一際、甲高い嬌声を上げて白濁を吐き出し、自分を犯すザックス自身をぎゅっと締め上げた。 その刺激に、我慢をし続けていたザックスも欲望を吐き出す。 「あ、ぁん…。」 内部にザックスの熱い迸りを感じて、クラウドは身体を震わせて啼いた。 ザックスはその紅を差したように紅く戦慄く唇に、軽くキスをしてから舌を這わせる。 それだけでも、クラウドは秘部をひくつかせ、内部はザックス自身に絡みついた。 「‥は、ぁ…はぁ‥ザックス…。」 「なんか喉、痛そうだな…。」 ちゅっと音をたててこめかみにキスすると、クラウドは恥ずかしそうにザックスの胸に頬を寄せる。 「ん‥はっ…いっぱい、はぁ、‥恥ずかしい、声、は、ぁ…出ちゃった、から…。」 「だなｖあんま可愛い声だから、すっげ燃えたぜ〜ｖ最高ｖｖ」 「ばかっ！‥けほっ、けほっ。」 ザックスの言葉にクラウドは真っ赤になって怒鳴りつけようとしたが、掠れた咳が出て果たせなかった。 それに慌ててザックスはクラウドの背中を摩る。 「ごめん。なんか無理させちまったみたいだな。…この状態だとヤバイから‥っと。」 「ぅんっく、ぁん…。」 まだ繋がったままだった自身をクラウドの中から引き抜くと、まだ余韻で感じるクラウドが甘い声を出した。 しかし、いつもと違いそれにサカルことなく、ザックスは改めてそっとクラウドを抱き締めて、優しく背中を撫でる。 「…今日はもう何にもしねぇから、安心してくれなｖ」 「ん。ザックスが背中撫でてくれて、楽になったよ。」 「そっかｖ」 穏やかに微笑むクラウドに、ザックスも笑みを浮かべてあやすように背中を撫で続けた。 「…ねぇ。」 「ん？」 「一緒にお風呂入ろ。」 「…いいのか？」 「もう何にもしないんでしょ？一緒に入ろうよ。」 ザックスの髪を指に絡めて遊びつつ嬉しそうな顔をして言うクラウドに、ザックスは頷いてシーツごとクラウドを抱き上げる。 「ひゃっ！？」 「しーっ！そんなデカイ声出さないの！大丈夫、暴れなきゃ落としゃしねぇよｖ」 「う、うん。」 少し身じろぎして大人しくなったクラウドに、ザックスはふと疑問に思っていたことを口にした。 「なぁ。クラウドはなんで俺を風呂に誘うんだ？」 「えっ？」 「バスルームで俺に手を出されんの嫌だったんだろ？でも、誘ってたよな？」 「…うん。」 「なんで？」 じっと不思議そうに魔胱の瞳に見つめられて、クラウドはかぁっと頬を染めて俯く。 そのクラウドの反応が理解できず、ザックスは顔を覗き込むようにして重ねて聞いた。 「なぁ、なんでだよ？」 「…わ、笑わない？」 「何を？」 「どうして誘うか、言っても笑わない？」 上目遣いで、しかし真剣にそう言うクラウドに、ザックスは神妙な面持ちで頷く。 「ん、絶対笑わない。」 「‥‥一緒にいたいから。」 「へっ？」 「だから、ザックスと、一緒に、いたいから。」 小さく呟いたのを聞き返すと、クラウドは魔胱の瞳を見つめて一言一言区切って言った。 しかし、その答えにザックスは困惑する。 いつだって、時間の許す限りクラウドと一緒にいるようにしているはずだ、と。 ザックスのその表情を見て、クラウドはまた頬を染めたが俯かずにまた言った。 「お風呂ってね、自分が入ってる時間とザックスが入ってる時間は、一緒にいられないんだよ。」 「まぁ、そうだな‥。」 話している間にバスルームに着いて、ザックスはクラウドを立たせる。 もそもそと抱きくるめられていたシーツを剥ぎつつ、クラウドは言葉を続けた。 「でもね、一緒に入るとね、ずっと一緒にいられるの。」 「あ。」 「お風呂に一緒に入って、一緒に出て。ね、ずっと一緒ｖ」 いい考えでしょ？とにこりと笑うクラウドに、ザックスは泣きたいような笑いたいような、複雑な気持ちになって優しくクラウドを抱き寄せる。 「…そうしたら、ほんとにずっと一緒にいられるよな。」 「うんｖ」 クラウドは、嬉しそうにザックスの胸に頬を擦り寄せた。 その髪をそっとそっと撫でてから、ザックスはクラウドの身体を労るように肩を支えてバスルームへと入る。 すると、いつの間に洗面台から手に取ったのか、クラウドはバスフォームの小瓶をザックスに差し出した。 「これって、バスタブに入れて泡が出るのだよね？」 「そうだな。…入れるか？」 「うん。」 クラウドはあっさり頷いて、小瓶の中身を惜しげもなく全部バスタブにあけて蛇口を捻る。 ザックスはその湯が溜まり出したバスタブにクラウドを抱き上げて入ると、いい香りのする泡で遊び出したクラウドを優しく抱き締めた。 「…一緒に入れば、こうして抱き締めてられる時間、増えるんだな。」 「うん‥あったかいね。」 「俺はもちょっとぬるめがいいかな。」 頬を擦り寄せ合いながら囁くように言葉を交わしていたが、クラウドがザックスのその言葉にくすくすと笑い出す。 「なんだよ？」 「お湯のことじゃないよ。‥ザックスがね、あったかいの。」 「そっか？クラウドもあったかくて、柔らかくて、抱き心地いいぜ〜ｖ」 「ふふ。嬉しいなぁｖ‥もうちょっと抱っこしててね！」 「ああｖクラウドの気の済むまで抱いてるぜｖｖ時間はたっぷりあんだからな。」 「うんっｖ嬉しｖ」 そして狭いバスタブの中で泡と戯れながら、触れるだけの軽いキスを何度も交わし、囁き合い、二人は穏やかで甘い甘い時間を過ごしたのだった。 「…まだ、一泊あるんだよな…。」 「うん！‥早くミッドガルに帰りたいの？」 「まさか。まだ二人っきりの時間はたっぷりあるなーって思っただけ。」 「？……ふぅん？」 |